だれを対象にしたサイトなのか
誰を対象にしたサイトなのか、という問いにはそれぞれの扱う情報でいろいろなケースがあるのだとおもいます。大人か子供か、ビジネスユーザーかコンシューマーか、特定の専門家や趣味の仲間か幅広くいろんな人か、日本人か外国人か。それによってサイトデザインのテーストが変わるのは当然であり、また構成や機能や様々な要件がほぼこの問題に帰結する訳ですが、この『だれ』は技術的側面から捉える事で要件にも影響があります。例えば以下のような条件です。
- アクセスデバイスは何処までサポートするか
- アクセス回線は?
- 国外からのアクセスは?
- 使用OSとブラウザは?
- インターネットかイントラネットか
つまり『だれ』という問題を考える時には、その人たちがどこからどのような形でアクセスを行うかという事に関して、技術的な側面の特徴やサポートの範囲という問題を考える必要があるという事です。
アクセスデバイスは何処までサポートするか
スマートフォンやタブレットの普及でそれまではほぼPCからの接続だけを前提にするか、目的を持った上でガラケーにも対応するかしていたものが、通常のブラウジングとしてスーマトフォンも選択肢に入ってきています。
タブレット端末はそのモニタ解像度からほぼ通常のブラウザの扱いで問題は無いかと思いますが、スマートフォンはやはり少々特別の扱いが必要でしょう。
- 表示画素数。デスクトップマシンなら横の解像度は1000dpi以上だろうし、iPhone3なら320dpiまで検討しなくてはならない。
- モバイル機器の表示画素数。iPhone3(320 × 480)、iPhone4(640 × 960)、iPhone5(640 × 1,136)。Androidは古めのもので(480 × 800)から(720 × 1280)までいろいろ。
- 詳細はcase:MobileDesign!さんのスマートフォン・タブレット画面解像度一覧を参照してください。
- 勿論単純に解像度が上がっていると沢山表示できるという訳ではなく、デバイスのサイズが同じなら精細に表示できるという方向になります。これはデバイスピクセル比(devicePixelRatio)という形になり、iPhone3に対してiPhone4は2倍のデバイスピクセル比になるという訳です。
- なのでiPhone4でもやはり表示画素数としては320 × 480で考えなくてはなりません。
- デバイス解像度は当然画面の設計にも影響します。最近のブラウザにはviewportという機能があり縮小表示されますが、それでもやはり検討は必要です。(別項)
- ガラケーへの対応となると、さらに特殊な要件が様々発生してきます。
アクセス回線は?
ホームページの応答性はサーバ性能、データベースの性能や設計から始まり、HTMLやCSSの書き方まで様々な行程で少しずつ対処する事でしか改善しない訳ですが、それでもスマートフォンをお使いの人は特に感じる通りで、すばらしい環境に慣れると、ついつい厳しい環境への対処に目がいかなくなりがちで、多くの部分をデータ量と回線速度の問題が占めているのが現状かと思います。
- 国内企業のデスクトップマシンであれば基本的には光通信経由の有線LAN経由となり、中にはギガビットも普及してきているが、多くは100Mbps、あるいは200Mbps回線でしょう。(地方などではまだADSLである場合も多いですが)
- スマートフォンの「3G回線」はソフトバンクの場合は下り最大3.6Mbpsまたは7.2Mbps、上り最大1.4Mbpsで、込み具合や基地局からの距離や電波状況に因るので実際はこんなに出ない。
- Wifiも規格やルータや接続回線によるので一概には言えないが、基本的にはリンク速度の半分くらいが実効速度のようです。まぁ遅くても50Mbpsは出ると思いますが、これも公衆無線アクセスポイントになると帯域制限や混雑具合によるでしょうから、規格値いっぱい一杯出ると考えるべきではないでしょう。
- スマートフォンなら3GS回線速度、Wifi接続のモバイルマシンなど、接続携帯に応じて体感で10秒を越えないように検討する。
- 上記のような事を検討した上でホームページの1ページあたりの容量を検討することになる。参考になるページとして、地平線に行くさんのウェブサイト1ページ当たりのデータ量は200KB~、多いと2MBぐらいのページに大手のページに関する検証がある。
- 上記のサイトに紹介されているような明らかに訪れる人が明確にアクセスする目的がある場合は、少々待ち時間が長くてもそのせいでページを閉じる確立は減るのだろうかとは思います。
- しかし検索結果から訪れるような場合は、ページを読み込む前に閉じてしまう確率が高まることになりますので、楽天のデータ量等は例外と思うべきかと思います。
- かなりデータの多い楽天の場合でも、キャッシュ率を高める等の配慮がなされているのが読み取れますし、そうした配慮はするべきでしょう。
- 上記ような事を検討した上でホームページの1ページあたりの容量を検討すると最初に読み込むページで500kbを上限とし。2ページ目からはキャッシュを除いて200kbをめどとするのが無難と思われます。
国外からのアクセスは?
世界一位の通信インフラの中から見ていると、例えばデータサイズに関して無頓着になりがちですが、相手の国によってはかなりストレスの元になる可能性がありますので、他言語のサポートが必要な場合などは一定のめあすを決めた上で取り組む必要があるでしょう。
- 海外からのアクセスを考慮する場合、当然コンテンツの他言語かという問題があります。これには。
- 海外からのアクセスまで検討する必要がある場合は、ReflectionOf.MeのInteresting graph that illustrates internet speeds and costs around the worldなどを見て、日本の環境が特殊かを認識した上で検討する必要がある。
- ちなみに一位が日本(60mbps、27セント)、二位が韓国 (22mbps、45セント)、15位がアメリカ(4.8mbps、3ドル33セント)、中国は2013/4に平均上り速度は3.14Mbpsに達した、とニュースになっていた。勿論地域によっても違う訳で、上海市(4.70Mbps)江蘇省(3.93Mbps)北京市(3.50Mbps)福建省(3.39Mbps)天津市(3.33Mbps)などとなっている。
- 多くの地域とは10倍以上の差があり、つまりおおよそ10倍の時間がかかる事を前提に応答速度等を考える必要がある。
- 海外の場合は早くともADSL回線である事を考えると、懐かしいADSLの頃の基準を思い出し、それぞれ最初に読み込むページで100kbと懐かしい2ページ目からはキャッシュを除いて56kbという感じがめどとなるでしょう。
- 私自身は北京からくらいしかアクセスした経験はありませんが、それでも夜中のホテルからならまだしも、昼間の客先からアクセススピードには覚悟していてもイライラさせられました。
使用OSとブラウザは?
OSとブラウザは主にホームページのコーディングに影響を与える問題で、Internet explorerの古いバージョンのサポートは開発工数を増やす元になります。XPのサポートが切れる事で特に日本ではIE6の使用率が高いままの状況も変わってくる事を開発側からは切に願う訳ですが。
- OSの違いに関してはちょっと前まではWindowsXP、Mac OS、Linuxなどブラウザ問題を別にすれば、ほぼフォントの違いを検討すれば良かったのですが(勿論特殊なプラグインや機能を使わなければ)、iOS、Androidなども検討する場合は、それぞれの制約(Flashなどは使えませんし、その他のプラグインも使わない方がいいです)に関しても調べておくべきでしょう。
- フォントに関してはそれぞれのデフォルトで入っているフォントを把握しておくべきでしょう。
- 外国語への対応の場合は、特に2Byte文字文化圏への対応時にはフォントの指定をどうするか検討すべきでしょう。
- ブラウザの種類に関して、『いちらん屋』さんの『ウェブブラウザの種類一覧』にまとめられていますが、数えてみるのがやになって数えていませんが、つまりそれくらいあるようです。勿論全てで確認するのは無理があります。大御所としては『Internet explorer』『Mozilla Firefox』『Google Chrome』『Safari』『Opera』といった所が基準になるでしょう。
- ブラウザのエンジンとしては、『Google Chrome』『Safari』は同じ『WebKit』を使用しています。勿論違う部分もあるわけですがほぼ同じようにレンダリングされる事を期待できます。
- その他は『Internet explorer』が『Trident』、『Mozilla Firefox』が『Gecko』、『Opera』も独自のエンジンを使用しています。『ウェブブラウザの種類一覧』で紹介したものも多分このいずれかを基盤として開発されているでしょう。(ちゃんと見てませんが)
- さてこれにバージョンが加わります。IE以外はほぼ最先端でなければある程度いろいろな問題に対処されたバージョンが使用されている事を期待できます。問題はWindowsXPとIE6,7当りの組み合せ。もうじきWindowsXPのサポートが終わるので、それによって状況が改善されそうな希望的観測。この移行期に何処まで対応すべきかは結構重要課題です。
インターネットかイントラネットか
多くの場合がインターネットのサイトを構築という事かと思いますが、イントラネットとして組織内での情報共有としてのサイト構築という場合もあるでしょう。インターネットなら『だれ』は不特定多数にフィルタの掛かった対象を想定していろいろな事を決めて行くことになりますし、イントラネットであればもっとはっきり条件が絞り込める事になるでしょう。もちろんそれぞれに特有の検討事項も発生してくるかと思いますが。
- インターネットの場合、『だれか』の情報を扱う上では、個人情報のポリシーやセキュリティーポリシー、社内での情報の扱いなどのポリシーの検討が必要になってくるでしょう。
- それに伴うSSLなどの暗号化方法や契約も別途発生してきます。
- 基本的にサーバに関しての要件は『だれ』という範疇外かとは思いが、『だれか』に対するサービス提供内容によっては込み合った要件ともなる部分です。
- イントラネットでも同様にポリシーは必要になってきます。
- イントラネットでの利用で他拠点間での接続等は、VPNの方法や管理。サーバの持ち方や管理等、様々な検討要件が別途発生してきます。
その他
場合によっては音声ブラウザへの対応が必要であったり、若年層への配慮であったり、ケースによって検討されるべきでしょう。
だれがについての要件の一部としてだけでも多くの技術的な要件がある訳です。
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